風呂に浸かり、浴衣に着替え、ひたすら食って、飲んで、騒いで、寝る、そしてまた風呂につかる、というのが温泉旅行の定番とすれば、湯船につかり、歴史に思いを馳せ、匠の技が生きた建具や材に包まれながら、美味・美酒を堪能する、というのはいかがだろう。本物が分かるDORON世代にこそお勧めしたいのが、登録有形文化財の宿だ。
窓の格子、屋根の庇、細部までじっくりと眺めたい
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時代を超え、人々を癒してきた恵みの湯
平成8年(1996)の文化財保護法改正により創設された文化財登録制度では、特に保存と活用が必要な建造物や美術工芸品が選定され、登録されている。建造物の登録に要する主な条件は、建築後50年を経過していて、国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないもの。
住宅や寺社に比べると数が少ない「旅館建築」の分野には、専門の大工がいるわけではない。このため宮大工が普請すれば寺社風に、民家専門の大工が建てれば民家風にと、普請した棟梁の個性によって、異なる造形が生まれるのが面白いところ。その違いを知り、棟梁の技に魅せられる。そんな楽しみが待っている、2軒の湯宿をご紹介しよう。 |