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最終更新日:11月25日
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8月16日更新
特集 名建築を愛で、湯に癒される
棟梁の個性が息づく 文化財の宿
旅館選びに欠かせない要素として、料理や温泉のほか、忘れてはならないのが建築の素晴らしさや美しさ。長い伝統と歴史に培われ、登録有形文化財として大切に維持されている名建築の宿。匠の技を鑑賞しつつ、温泉街の風情を楽しむ旅に出かけてみよう。
文・ランズ
壱 向瀧(むかいたき) 福島県・会津東山温泉 登録有形文化財第1号の宿 弐 積善館(せきぜんかん) 群馬県・四万温泉 日本最古の湯宿建築
登録有形文化財の宿 「再現不可能な空間に泊まる」という贅沢
風呂に浸かり、浴衣に着替え、ひたすら食って、飲んで、騒いで、寝る、そしてまた風呂につかる、というのが温泉旅行の定番とすれば、湯船につかり、歴史に思いを馳せ、匠の技が生きた建具や材に包まれながら、美味・美酒を堪能する、というのはいかがだろう。本物が分かるDORON世代にこそお勧めしたいのが、登録有形文化財の宿だ。
窓の格子、屋根の庇、細部までじっくりと眺めたい
時代を超え、人々を癒してきた恵みの湯
平成8年(1996)の文化財保護法改正により創設された文化財登録制度では、特に保存と活用が必要な建造物や美術工芸品が選定され、登録されている。建造物の登録に要する主な条件は、建築後50年を経過していて、国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないもの。

住宅や寺社に比べると数が少ない「旅館建築」の分野には、専門の大工がいるわけではない。このため宮大工が普請すれば寺社風に、民家専門の大工が建てれば民家風にと、普請した棟梁の個性によって、異なる造形が生まれるのが面白いところ。その違いを知り、棟梁の技に魅せられる。そんな楽しみが待っている、2軒の湯宿をご紹介しよう。
壱 向瀧(むかいたき) 福島県・会津東山温泉 登録有形文化財第1号の宿
約1300年前、名僧・行基が発見したといわれ、奥羽三楽郷に数えられる会津東山温泉。会津若松駅から車で15分の豊かな美しい自然を誇る温泉地の一角に、威風堂々とたたずむ宿がある。

平成8年(1996)12月に登録文化財制度第1号として登録された向瀧。会津藩の保養所だった「きつね湯」を明治6年(1873)に平田家が譲り受け、旅館として営業を始めた。

創業当時の建物は現存しないが、大正から昭和初期に新築・増改築された建物は、今や再現不可能と言われる和の技法が凝縮されている。
きつね湯(男湯)の湯口。ナトリウムとカルシウムを大量に含む成 分が長年にわたり白い結晶に
宿の表情をつくる屋根
湯川のほとりに立つ旅館。赤瓦葺きの入母屋屋根が美しい
向瀧には、玄関の棟、はなれの棟、山沿いの棟、川沿いの棟と4つの棟があり、それぞれ入母屋瓦葺屋根で覆われているのが特徴の一つ。入母屋造りとは、屋根上部を大棟から両側に流した形の切妻屋根の四方に庇屋根をつけた形。切妻型の部分は千鳥破風といわれ、鳥が翼を広げているような優美な流れが建物全体に気品を与えている。

大正期に改築を手がけたのが地元会津の宮大工・本間 辰五郎。本館の玄関上の千鳥破風に木連格子を入れて飾るなど、芸術的と言っても過言ではない技を随所に残した名棟梁である。
絶句を誘う柾目の格天井
本間棟梁の技を語る上で欠くことができないのが、大広間の格天井(ごうてんじょう)。寺や城など格式の高い空間によく見られるこの天井は、格縁を格子に組み、正方形の鏡板をはめ込んで造られる非常に高い技術と豊富な材料を要するもの。

ここでは、格縁が太いだけでなく、会津桐の柾目一枚板が鏡板として使われている。年輪に対して垂直に切り取った柾目の板は、太い丸太からでないと取りにくいので非常に貴重で高価な材だ。天井を見上げ、その壮麗さに息をのむ。
85畳の大広間には、桧舞台もあり、随所に最高の材料が使われている
会津職人と江戸職人の技の競演
桔梗の間の節袴。木目の節を隠すために使われた工法
細部の造形も、用材も一部屋一部屋異なる客室。部屋から見える中庭の日本庭園も、角度によって、季節によ って違った趣を見せる。次にはどんな発見があるか、必ずやまた足を運びたくなる宿だ。
雪深い会津の建築技術は、従来越後系統が主流であったが、昭和9年から10年にかけて普請された山沿いの棟は、東京からも棟梁を呼び寄せての増築であった。

書院造り(近世に行われた書院を中心とする住宅様式)を基調に、数寄屋風(茶室の様式を取り入れた建築)を取り入れた各室で構成され、建具や欄間(採光・通風・装飾のため天井と鴨居の間に格子や透かし彫りの板を取り付けた部分)の細工には、会津と江戸それぞれの職人の個性と技が光っている。
菊の間。半円形の明かり障子が空間を柔らかく見せる
DATA 向瀧(むかいたき)
住所: 福島県会津若松市東山町大字湯本字川向200番地 TEL: 0242-27-7501
宿泊料金(1泊2日): 平日 16,950円〜 休前日 19,050円〜 ※いづれも2食付き1名料金、税・サービス料・入湯税込み
URL: http://www.mukaitaki.com/
壱 向瀧(むかいたき) 福島県・会津東山温泉 登録有形文化財第1号の宿 弐 積善館(せきぜんかん) 群馬県・四万温泉 日本最古の湯宿建築
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この情報は2006年8月16日現在のものです
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